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朝御飯 (林 芙美子)

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私はこのごろ、朝々レモンを輪切りにして水に浮かして飲んでいるけれど運動不足の躯には大変いいように思う。いまごろだと苺の砂糖煮もパンとつけあわせて美味いし、いんぎんのバタ炒り、熱い粉ふき藷に、金沢のうにをつけて食べるのなど夏の朝々には愉しいものの一つだと思う。

朝たべられる果物は躯に金のような作用をするそうだけれども、

御飯と茶の味でその家の料理のうまいまずいがわかる

朝々のお茶の類は、うんとギンミして、よきものを愉しむ舌を持ちたいものだ。

朝々、バタだけはふんだんに召上れ。皮膚のつやがたいへんよくなります。外国では、バタをつかうこと日本の醤油の如くです。バタをけちけちしてる食卓はあまり好きません。

そのほか私の発明でうまいと思ったものに、パセリの揚げたのをパンに挟むのや、大根の芽立てを摘んだつみな、夏の朝々百姓が売りに来るあれを、青々と茹でピーナツバタに和えてパンに挟む。御実験あれ。なかなかうまいものです。

トマトはビクトリアと云う桃色なのをパンにはさむと美味い。トマトをパンに挟む時は、パンの内側にピーナツバタを塗って召し上れ。美味きこと天上に登る心地。そのほか、つくだ煮の類も、パンのつけ合せになかなかおつなものです。

夏の朝々は、私は色々と風変りな朝食を愉しむ。「飯」を食べる場合は、焚きたての熱いのに、梅干をのせて、冷水をかけて食べるのも好き。春夏秋冬、焚きたてのキリキリ飯はうまいものです。飯は寝てる飯より、立ってる飯、つやのある飯、穴ぼこのある飯はきらい。子供の寝姿のように、ふっくり盛りあがって焚けてる飯を、櫃によそう時は、何とも云えない

徹夜をして頭がモウロウとしている時は、歯を磨いたあと、冷蔵庫から冷したウイスキーを出して、小さいコップに一杯。一日が驚くほど活気を呈して来る。とくに真夏の朝、食事のいけぬ時に妙である

淹れたてのコオフィ一杯で時々朝飯ぬきにする時があるが、たいていは、紅茶にパンに野菜などの方が好き。このごろだったら、胡瓜をふんだんに食べる。胡瓜を薄く刻ざんで、濃い塩水につけて洗っておく。それをバタを塗ったパンに挟んで紅茶を添える。紅茶にはミルクなど入れないで、ウイスキーか葡萄酒を一、二滴まぜる。私にとってこれは無上のブレック・ファストです。






読んでいて、自分がいかに朝食を楽しめていないかに気付かされます。だって、いつも昨夜のご飯の残りか、トーストにシリアルなのです。

著者のように、なんだか心に余裕のある、楽しい朝食を心がけたいと思いつつ、いつものせわしない時間の流れを味わっているわけです。残念無念。

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Hiro

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読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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