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外に出た友 (北条 民雄)

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片目になると太陽の光りまでも半分になつて、昼間でも夕暮の中を歩いてゐるやうな感じ

三日たつてYからの手紙が着いた。――牢獄を背負つて歩いてゐるやうなものです。かつて親しかつた人も、病院にゐた頃に同情を示してくれた人もみな敵です。敵は自分の体内にゐるといつた兄のお言葉も正しいが、しかしまた体外にもゐるのです。内も外も、みな敵ばかりです。癩者はボロ靴のやうに療養所といふごみ箱に捨てるのが人類の正しい発展となるのでせう。自分がボロ靴であることを意識しました――

水面に落ちた油のやうに、癩を有つた彼は人間社会から遊離させられるであらう。 果してさうであつた。

闇が私の肉体を食ふ音

私は部屋を出ると、花園の中などを歩いてみたが、空虚だつた。花は少しも美しくなかつた。

飯を食へば机の前に坐り、書けなくとも昼まではじつとしてゐ、昼食後ちよつと散歩をしてまた机の前に坐つて夜まで過す、これが私の毎日の生活の全部だつた

盲目の世界がどつと眼の前に現はれて来たやうに思つた。








ハンセン病が当時いかに残酷なものだったかが読んでいて悔しくなるほどでした。
「牢獄を背負って歩く」という例えが衝撃的でした。

そして片目の視力を失いつつある筆者の「花は少しも美しくなかった。」はつらい。
人の心を癒してくれる存在である花でさえ、もはや無駄なものに見えてしまうほどの絶望感なのですね。
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Hiro

Author:Hiro
読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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