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不思議な国の話 (室生 犀星)

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山の色は、うすい藍色のときもあり、鼠色だったり、あるいは一面に牛乳色をした靄の中から紫の頭をあらわしたり、ほんの雲の間にちょいと聳えてみえたりしていました。それを見るごとに、私はちょうど眩惑のするようなすうとした気もちで、その山の奥の方にある池のことを倦きることなく考え込んでいるのでした。

温かい白い雲がちぎれちぎれになって、山の頂へ、ふうわりと懸りました。まるで小さい帽子のように、ふしぎなまだ私の見たことのない国の上の秘密をつつむように、いく片となく浮きよせてきました。

私は、春になると何より杏の花の匂いをかぐのが楽しみです。

それほど話上手な姉のことゆえ、手で真似をして見せたり、美しい眉をしかめたり、または、わざとその大きい黒い瞳をいっぱい開いたりするのです。

私はすぐ山の上にある、空ばかり映っていて、すこしも濁ってない青い水底を考えました

山という不思議な、まだ私たちの見たことのない国

春は、いつの間にか紫ぐんだ優しい色でつつまれ、斑ら牛のように、残雪をところどころに染め、そしていつまでも静かに聳えているのです。





山への想いを綴っているのですが、確かに言われてみると山っていつも同じように見えるのですが、実はさまざまな変化がある不思議の国なのかもしれないと思ったのでありました。

山を見る目が少し変わりそうです。

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Hiro

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