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死 (アルチバシェッフ ミハイル・ペトローヴィチ)

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何もかも今まで思つてゐたやうに単純なものではないな。驚嘆すべき美しさを持つてゐる。

かうして平気で一日一日と生きて暮らしてはゐる様なものの、どうせ誰でも死ななくてはならないのだ。それなのになんの為めにいろんな事をやつてゐるのだらう。苦労をするとか、喜怒哀楽を閲するとかいふことはさて置き、なんの為めに理想なんぞを持つてゐるのだらう。明日は己を知つてゐるものがみな死んでしまふ。己が大事にして書いてゐるものを鼠が食つてしまふ。それでなければ、人が焼いてしまふ。それでおしまひだ。その跡では誰も己の事を知つてゐるものはない。この世界に己より前に何百万の人間が住んでゐたのだらう。それが今どこにゐる。己は足で埃を蹈んでゐる。この埃は丁度己のやうに自信を持つてゐて、性命を大事がつてゐた人間の体の分壊した名残りだ。土の上で、あそこに火を焚いてゐる。あれが消えれば灰になつてしまふ。併しまた火を付けようと思へば付けられる。併しその火はもう元の火ではない。丁度あんなわけで、もう己のあとには己といふものはないのだ。かう思ふと脚や背中がむづむづして来る。


わたくしの申したのは、詰まり人生は死刑の宣告を受けてゐると同じものだと見做すと云ふのです。

人は何物をも自己以上に愛するといふことはないのです。

人間は誰でも死刑の宣告を受けたものと同じ境界にゐるのです。

何もかもひどく清潔で、きちんとしてある。その為めに却つて室内が寒さうに、不景気に見えてゐる。








人間は自分以上に何かを愛せることはない、というのは真理だと思うのですが、
本当にそうであれば、ちょっと寂しい気もするのでした。

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Hiro

Author:Hiro
読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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