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共震ドクター(阪神、そして東北) : 長尾和宏・熊田梨恵

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阪神淡路大震災で被災した町医者が、東日本大震災の被災地を巡る。





・どこの地域でもそうだったが、壊滅している住宅地域に来て何かしている人たちは、
 ほとんどが自分たちのものを探していた。49日経っても皆そうなのだ。

・「人間とは欲深いものですよね。中途半端に家が残ってしまったばっかりに、
 こうして余計な作業を続けているんです。」

・「幸せです。」
 「周りには家を流された人もいるし、家族をなくした人もいる。でも私はこうして
 1メートルの浸水だけで済みました。自分だけかろうじて家が残ったのは、みんなに
 すまないと思います。言っちゃいけない言葉だけれど、幸せだと思います。」

・サバイバーズ・ギルト(災害などで生き残った人が死者を思い罪悪感を持つこと)

・国は損害を補償してくれるようなものも何もないし、その義務はない。
 阪神淡路大震災では、国から自助努力を突き付けられたことによって被災者の多くが
 絶望し、自殺者が出た。国に捨てられたのだと思った。

49日が経ったのだ。泥の中から咲いた花。
 亡くなられた方々の生まれ代わりに見えて、涙が止まらなかった。

1995年1月17日午前5時46分
 まるで夢の中のようで、信じられない思いで2時間歩いた。途中、コンビニで
 店員さんが食べ物を配っていた。駅のトイレには便が溢れていた。鉄道も壊れていた。

・鼻や口や耳、穴という穴に壁土が詰まっていた。死後硬直の始まった状態で搬送
 されてくる人もいたが、家族が納得しないので心臓マッサージをしたりした。

・震災当日は1人に1個のおにぎりが配られて飢えをしのぐことができた。
 しばらくはおにぎりだけが続き、4日目にたくあんが付いた。なんとうまいんだと思
 った。5日目には味噌汁とサラダも付いた。本当にありがたかった。

・クラッシュ症候群(圧迫されて挫減した筋肉から有害物質が全身に巡り腎不全を起こ
 す)の患者がたくさんいると分かったときにはお手上げだと思った。
 クラッシュ症候群は死亡率が非常に高く、一刻も早く人口透析をしないといけないが、
 目の前の患者を助けるのにいっぱいで、そこまで手が回らない。絶望。

・1週間ぐらいしてひと段落したころに自衛隊のヘリコプターで搬送できるという話が
 来た。「何をいまさら」と思った。そんなことなら、震災当日から私たちの上を
 たくさん飛んでいた報道用ヘリに運んでもらいたかった。

村山首相は「自然災害により個人が被害を受けた場合には自助努力による回復が
 原則」と、国による個人補償や公的支援を否定した。棄民政策。


・「健康で、これからって生きていこうという子が意識のあるまま息絶えていく
 というのは壮絶極まりないです」

・神戸市などでは大規模に区画整理事業が行われた。やはり、ほとんど住民への説明や
 同意がないまま行われたため、ある日突然に市から言い渡されて強制的に移住させら
 れた人たちも多い。知り合いの女性は家を離れさせられた上に仕事も奪われ、自殺

・コミュニティの崩壊で、人々は社会的役割を失った。
 それまでに家族間や地域、社会で果たしていた役割がそれぞれあったはずだが、
 仕事と居場所を失うと役割も失うことになる。

「枕が来たよ!」と喜ぶ声

・お金や物の支援は難しいと思った。義援金もそうだが、不公平感を生んでしまう

・急性期を過ぎると医療より介護の需要が大きくなる。

・わかりやすさという意味では、医療支援チームの服の色をオレンジ色に統一
 したほうがよいと感じた。職種が一目瞭然だとなおよい。

・建ったまま「死んでいる」

・阪神のとき、写真を失ったことで人生を失った人がいる。思いで探し隊は意味がある。

・なんと被災者が、被災者に募金していた。胸が苦しくなった。
 被災者が、被災者を助ける。

・生活再建は自助努力であっても、自然災害による生活基盤回復は国家の責務。

・今後自殺者やうつ、アルコール依存症など精神疾患の患者、慢性期患者が
 増えていくことを考えれば、医療者としてすべきなのは、彼ら弁護士の
 支援を通じて、被災者の生活を支えることだと思った。

・津波が起こったのは午後3時ごろ。その時間帯、漁師はたいてい昼寝をしているもの
 だそうだ。だから見つかった遺体は寝ていた状態が多かったという。

・渦中の中にいる人間は、自分がどういう状態に置かれているのかよくわからない。

・阪神淡路大震災は今なお終わっていない。県から受けた融資の返済を続けている人、
 住んでいた場所に戻れなかった人、震災後の生活苦で自殺してしまった人やその家族、
 心を病んでしまった人、「近所」というコミュニティを無機質なショッピングモール
 に変えられてしまった人、震災後のストレスから病気になった家族の介護で疲れた人、
 当時住んでいた土地の税金の支払いに苦しむ人。

温かくて安全な場所で生きていることが申し訳なかった。

・義援金は早く配れば配るほど価値がある。
・今の法律では、個人の細かい事情にまで配慮した生活再建は保障できていない。
 どんなに「国が何とかしろ」と言っても、一律救済以外のことは書かれていないから、
 国にはその義務はない。そのことに気付いている人は少ない。

・コツコツ努力して諦めないのが日本人の気質。特に強く残っているのが東北人。

・生活保護から抜け出せる人は年間にたった2%だそう。

・みんな何か役に立ちたいと思っていても、実際のニーズはそこじゃない。
 医療と介護は生活があってこそ。生活基盤を支えてあげることの方が大事。

・食事もみんなで一緒に食べたい。阪神のときもそうだったが、
 独居の方がご近所から切り離され孤独になると病気や認知症が進む

・阪神淡路大震災後のPTSDに苦しんでいる人が、いまだにたくさんいる。

・被災者が必要とするのは、まず現金。

・国が引っ張るんじゃなくて、国は市町村の決定を支える。国がいちいち細かいとこ
 までやっていたら遅くなる上に、見当違いになる。

・「民」の動きを邪魔しないことが「官」の仕事だ

・これだけ多くの人が日常を失っているのに、それでもまだ原発を使おうと考えている
 なんて滑稽

・東電社員が悪いんではなくて、日本の原発推進政策が悪かった。
 社員は日本が決めた政策に従うしかないんだから。だから本来責められるべきは、
 原発推進政策を推進し、その利権構造に群がってきた歴代の政官財です。


・そろそろみんな、もっと本質を見ていかないといけないんです。
 医療と政治はけっして無関係ではない。原発推進政策も医療費抑制政策も、
 拝金主義で群がった権力者たちの産物だった

医療は本来はアートの部分が大きいですが、現代ではサイエンスが前面に
 出ている。医療には必ず不確実性があって、ある一定の確率で患者さんに
 不幸なことが起こる。どうしたって人間にはできないことはあるんですが、
 「できる」と思ってしまう。「治せる」と思って科学におぼれてしまう。


「依存」が「無関心」という最大の問題を生み出す。

信じてないから、怒らない。

・僕は人を助けるために医者を続けています。しかし本当に「命を助けた」と
 思える人は一生の間に10人位だと思う。普通の医者なんてそんなものだと
 思う。救うより奪うほうが多かったりして・・・。











いろいろと気付きを与えてくれる本だった。

一番印象に残ったのは

(((「依存」が「無関心」という最大の問題を生み出す。)))

という文だった。



読んでいて涙が出そうになったが、今は流すんじゃなくて他にすることがあるな、と思った。



被災された方が一日でも早く日常を取り戻せますように。
祈るだけじゃ何も変わらないけど、それでもお祈りいたします。



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Hiro

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読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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