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蝶々の纏足 : 山田詠美

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少女が親友えり子から自由になろうとする術は男を愛すること。


・十六にして、私、人生を知り尽くした。

・私が何度舌で削り取っても、麦生の体には陽がさしていた。

・彼は必死に私に自分の「印象」を与えようとしていた。

・私をベッドの上に横たえた。そして、彼は教え始めた。

・音楽は低く部屋じゅうに流れて、フランス語の甘い歌詞は私と麦生の体の
 隙間で消えた。

・足の間に埋め込まれていくものは、私にとって既に必然となり始めていた。

・真摯な額たちと自堕落な腰。おどけた様子で組み合わされた四本の足。
 それらの付け根で湧くぬるま湯の泉。

・私が自分の足の間に手をやると、そこは洪水だった。

・もう、知らないことは何もなかった。

・私の体液を吸っている麦生の体は時間をかけたピクルスのように香ばしくて、
 私を満足させた。

・家のものはすべてが彼女の引き立て役になっているように私は感じた。

・えり子は、いつも綿菓子のような服を身につけ、それらは愛らしいものはこの色
 であるべきだという色をしているのだった。

・えり子に当たって反射した人の視線など私には必要ないのだ。

・私は自分で自分自身を誉めようとした。すると心臓は急激に膨れ上がり
 肋骨を軋ませる程だった。

・書くのじゃなかった。皆、遅れていたんだわ。あの手紙を許す程、大人じゃなかった
 のだ。所詮、あの少年は、私の手紙を受け取る資格などない男だったのだ。

・皆に紛れて笑いながら少年へのせつない気持ちを葬り、憎しみの結晶に層を重ねた。

・彼は、男と女の間に横たわるやるせない空気を理解する素質に恵まれている

・衣服を通り抜けて体を冷やすほどの雨の日

・彼の私への気持ちは空気を振動させて私の許に届く。

・男と女が結びつくのは当然の法則であるのに彼女たちは何故、大騒ぎするの

・私は彼の体を知らずにいったいどのように十六年を生き延びて来たのだろう。

・口を付け、味わい、そして噛み砕き、体の中に押し入れること。
 男の体って、まるで食べ物みたいだわ。

・味わいを持たない体液なら、いっそ意志を持たない雨の粒のほうがどんなに
 人を気持ちよくさせることか。

・あんたはいつも、私を、自分を人に認めさせる道具に使ったわ。私が、少しでも
 先に行こうとすると、いつも足を押さえて逃げられないようにした。
 私は何度も転げて助けを求めていたのよ。

・彼女は私を鳥籠の中の鳥をかわいがるように観賞していたのだ。

・悲しみが濃度をつけた重い大きな涙の粒がゆっくりと彼女の頬を伝って




小さい頃の友達の影響って結構強いと思う。
その友達が自分より優れていたら、尚更。

物語の主人公は、色でいえば寒色系で、地味な服装ばかりしていた子。
その「親友」として自分の都合のいいように彼女を扱ってきた派手な暖色系のえり子。

なんとなくこういう関係って、現実にもたくさんあるような気がした。

ずっとえり子に縛られてきた主人公は、えり子より先に男の愛を知ることで、
優越感を覚えるのだけど、なんとなく自分の過去をフラッシュバックしてしまった。



ぼくにも4歳くらいの頃から、近所に住む同い年の男の子がいて、
彼は容姿、頭脳、一直線な性格、すべてが優れていた。
そして僕は、泣き虫で、意地っ張りで、独りで遊ぶのがいつも好きな子だった。

彼をいつもうらやましく見ていた。それはぼくをますます弱くした。
その羨望の感情を素直に彼に打ち明けれれば良かったのだけど、
無理だった。隠れて黙っているだけ。

その子に勝ちたい、っていう思いはあったと思う。
今思えば、それって情けないことだと思うのだけれど、そのときは友達であり、僕の中では(あくまで僕の中で)
彼はライバルだったのだ。

結局その子とは、中学卒業を境に連絡が途絶えてしまったのだけれど、
今振り返れば、また会えたらと思う。
彼にひどいことも何度かしたし。それも僕なりに彼から優越感を得るための必死の行為だったのかもしれない。
会って謝れたらと思う。






山田さんの性表現は、今まで読んできた作家の中で、一番好きだ。
美しいほど官能的で、比喩がおもしろいから。



小さい頃の友達に、こんな僕でも愛してくれた友達、みんなになんとなく会いたくなった。
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Hiro

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読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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