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雨はコーラが飲めない : 江國香織

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愛犬「雨」と著者の好む「音楽」のエッセイ。



・私たちは、よく一緒に音楽を聴きます。べつべつの思惑で、べつべつの気分で、
 でも一緒に音楽を聴くのです。

・基本的に、強烈なものがすきなのだ。犬の体温が人間の体温より高いことと、
 それは関係があるのかもしれない(し、ないのかもしれない)。

・カーリー・サイモンの小ざっぱりした歌い方は、それぞれの曲のオリジナルより
 よかったりもする。一曲ずつが、特別で小さな石みたい。

・雨は臆さず媚びていた。本気で。

・ベイシティローラーズのファンーーーチェックのえり巻きをまき、
 キットカットを毎日食べて太っていた

・どうしてだろう。クイーンのアルバムは、こっそり聴く。
 誰かが遊びに来てくれたときにかける音楽には絶対選ばない。

・たしかに草は野蛮だ。野蛮で傍若無人。ちょっと目をはなすと、そこらじゅうに
 生えて自由に王国をつくってしまう。

・シンニード・オコナーは好き。あの鍛えられた肉体とスキンヘッドのシンニードが
 消え入りそうに「Am I not your girl?」と歌うのなど聴くと、もうやられる。
 心細い少女を、彼女はあの鍛えられた身体のなかにひそませている

・メリー・コクランの声の魅力ーーウイスキーでうがいをして育ちました

・尾崎紀世彦「今・今・今」

・重要なのはパワーアップだと思う。年とともに技術をアップさせる人はたくさん
 いるけれど、パワーをアップさせられる人は少ない。

・ほっとくと、雨はすぐ使用後のモップみたいになるから。

・かわいそうに。ケモノなのに「歯磨きロープ」なんか食べさせられて、シャンプーの
 あとで「OH MY DOG(犬用オーデコロン)」なんかつけられちゃって、かわいそうに。

・秋になると、スザンヌ・ヴァガ的なものがほしくなる。

・「一緒がいいね。嬉しいね」

・歌詞には、さすがに時代が色濃く漂っている。「ナイスミドル」とか「お好きにせめ
 て」とか。

・雨にとって、空はたぶん遠すぎるのだ。

・ショーン・コネリーの声は、歌うというより語っていて、ひとつの物語みたいに
 美しい

・「まったりする」のにふさわしい音楽は何だろう、と考えて、スウィング・アウト・
  シスターを選んだ。あの気だるいーでも乾いた曲調とヴォーカル

・シャデーのジャジーは夜を思わせる。私はそのへんが苦手だ。
 やや重いというか、曲に寄りかかられるというか。
 スウィング・アウト・シスターは、しゃきっと立っている。

・リサ・ローブ。かわいいけれど温度の低い、意志的な、しっとりした声の魅力は
 あいかわらず

・音楽を聴くためには自分の人生がいる。
 勿論たいていの愉しみには人生がいるのだけれど、音楽の要求するそれが、いちばん
 根元的だなと思う。

・テープを作る、という行為を、最後にしたのはいつだっただろう。なつかしいけれど、
 いまそれをする熱意はないなぁ、と考える。

・なんとなく認めるのが不本意だが、私の場合、二十代前半は世界や他人に気を許せな
 いぶん、音楽や映画や小説に圧倒的に傾いていた。そのころになぐさめを与えてくれ
 た音楽は、いま聴くと、そのころとはたぶん違う意味で、しずかな勇気を与えてくれ
 る

・この数ヶ月で、雨はほとんど視力を失ってしまった。
 そして、私と雨は、もう目が合わない。

・世良公則のどこがいいかといえば、彼の声は楽器というよりいっそ音楽そのものだ。

・「世良さんのギターって礼儀正しいの」

・深夜2時の部屋のなかというのは、スタンダードのバラードを聴くのにぴったりの
 場所だ。

・清潔に甘い声をしたステイシー・ケント

・スタンダードというのはスタンダードだから安心なわけではちっともなく、
 聴くたびに、いっそびっくりするほど、ゼロから安心させてくれるものだから
 スタンダードなのだ

・「きちんとしているよね。名曲をぱりっとさせようとするなんて」

・雨には、でも誕生日という概念がない。誕生日を記念しないばかりじゃなく、
 理解もしない。

・私は言葉に依存しがち

・音楽も、言葉には依存しない。歌詞がいい、というのはいわば付加価値であって、
 音楽としての力には、それは関係のないことだ。

・朝の台所に、ケリ・ノーブルはとてもぴったりな感じだった。
 安定したピアノの音も、曲のためにあるみたいな声と言葉の空気感も。




それぞれの歌い手の形容の仕方がとってもおもしろい。
ぱりっと、とか、しゃきっと、とか。

たとえばスウィング・アウト・シスターの表現の仕方。
「そう!まさにそう!」と読みながら唸った。自分では言葉にできなかったから。

こうして考えると、音楽を文学的に捉えたことがなかったことに気付く。
だから読んでておもしろかった。



「雨」との触れ合いは、とても微笑ましい。
視力を失ってしまった雨と自分を冷静に慎ましく綴る著者の文に、
悲しい場面ではなく、あくまで日常的な匂いが漂っていて、そこがよかった。とてもやさしかった。


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Hiro

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読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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