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旬のスケッチブック : 俵万智 

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12の季節の言葉のスケッチ。




1月大根
・ぴっちぴっちの大根が、八百屋さんの店先にどーんと積まれるようになると、
 「おお、冬だ!」という気分になる。

・緑の葉っぱがわさわさついていれば、なお嬉しい。これで今日はほうれん草を
 買わなくてすむ。

・さっと茹でて、おひたしにしてもおいしいし、細かく刻んで炊きたてのごはんに
 混ぜれば、目にも鮮やかな「大根めし」

・買い物の袋から葉っぱがぴょこんとはみ出す風情もいい。

・「みぞれ和え」というネーミングをした人に、心から拍手。
 唐辛子と一緒におろして作るオレンジ色の「もみじおろし」も、素敵な命名だ。

・「ばっさりと」には、内に秘められた激しい思いが感じられる。
 「切る」ではなく「斬る」。迫力満点だ。

・大根おろしを作るとき、剥いた皮を私は、短冊のように切って、ごま油としょうゆを
 同量ぐらいずつ混ぜたタレにつけておく。できれば鷹のつめ、なければ一味か
 七味唐辛子を、ぱっぱっぱ。すると翌日には、歯ごたえばりばりの、おいしい
 漬物になっている。


2月チョコレート
・どこかにチョコレート畑というのがあって、2月にいっせいに収穫されるのでは
 ないかと思ってしまう。

・「いつもさっさと帰っちゃう男の子がさ、なんとなく放課後もぐずぐずしてたり」

・チョコレートを溶かしたものがホットチョコレートではなく、歴史的にいうと逆。
 スペインの人が、カカオの粉に砂糖と牛乳を加えて飲み物を発明。
 それから200年後に、それを固めてチョコが作られた。


3月菜の花
・もともと菜の花の「菜」は、副食物を総称する「肴(な)」や、食用にする魚の
 「魚(な)」と同じ語源なのだそうだ。早い話が「おかずの花」

・さっと茹でて芥子あえにするのが私は一番おいしいと思う。

・ほろ苦いの「ほろ」が大切なのだ。そしてこの微妙な感覚は、
 日本人独特のもののような気がする。

・昆布ではんく、ぬかの入った袋で押しをするとまた違った風味になる。
 つぼみを、豆腐などと一緒におすましにするのもいい

・献立に、何かひとつでも季節を感じさせるものがあると、会話がはずむ。



4月新キャベツ
・春を感じるさせる野菜は?
 私は迷わず新キャベツと答える。このふわふわ感がいかにも春である。

・古キャベツでは、いかにもバリバリ固くてまずそうだ。ところが冬キャベツと
 呼んでやると、落ちついたあったかい感じがする。

・煮ても焼いてもおいしく食べられる。青々とした外の葉っぱは、ロールキャベツは
 もちろんのこと、炒めると一層甘みを増すし、中のやわらかい部分は生食に最適。
 サラダや即席漬けに活躍する。中心の巻いているところはたっぷり刻んで餃子に
 入れると、とろとろっとしてほんのり甘く、やさしい味になる。

・外の葉っぱ、中の葉っぱ、中心部分ー一個の中にもそれぞれの使い道があるのが、
 いい。場所によっていろんな料理のストーリーが考えられる。こういうのを
 「ドラマ野菜」と、私は勝手に呼んでいるのだが、キャベツはその代表選手でもある。
 
・葉っぱ一枚で、一日に必要なビタミンCがOK
 野菜の中ではたんぱく質も多いほうです。


5月いちご
・イチゴ大福。あんの中にすっぽり隠してしまうところが、意表をついている。見てく
 れのためではなく、味のためのいちごなのだ、とでもいうように。

・ひな祭りやクリスマス、誕生日などに欠かせないということで、最近では
 イベントフルーツと呼ばれているそう


6月あお梅
・「あの色」としか言いようのない柔らかいやさしい黄緑の青梅が、ざるに盛られて
 並び始めると、そろそろ梅雨入りだな、と思う。梅の雨、とはよく言ったものだ。
 東北地方などでは、梅雨の終わりを思わせるのが、あの黄緑なのだそうだ。

・氷砂糖。ゆっくりゆっくり溶けてくるお菓子の原石は、私にとってはダイヤの原石


7月トマト
・最盛期に完熟し、栄養分もしっかり育成した上で木からもがれたものは、「追熟」の
 ものより、3倍のビタミンCが含まれているそう

・ウキウキしているときは、八百屋さんの野菜も何か、みんなウキウキしている
 ように見える。逆に気持ちが滅入っているときには、どれもこれも、暗い野菜に
 見える。


8月氷
・いちごやメロンなどのシロップのけばけばしさも、暑さでぼーっとした頭には、
 かえって刺激的でいい。夏は原色が似合う季節

・自分にとっては辛いこの失恋も、相手にとってはひとつのエピソードに過ぎない


9月きのこ
・「たけやー、さおだけー」と威勢のいい声でやって来る竿竹売り。私はずっと
 「竿だけ=オンリー竿」の意味だと思っていた

・煮物や和え物は、単品よりも何種類かのきのこを使ったほうが、それぞれの風味が
 生きるそう。


10月牡蠣
・「どんなに嫌いなものでも、3個は食べなくてはいけません」

・牡蠣は、栄養的にも大変すぐれていて、ヨーロッパでは「海のミルク」と呼ばれる。
 「畑のミート」は大豆。


11月落ち葉
・「木は黙っているから好きだ
 木は歩いたり走ったりしないから好きだ
 木は愛とか正義とかわめかないから好きだ」

・飴いろのもみぢ、というのがまた渋い。赤や黄色、といった派手な色彩ではなく、
 重ねられたときを感じさせる、こっくりとした深い色。


12月ケーキ
・ショートケーキの「ショート」が、そもそもどこからきているのか知らないので
 決めつけることはできないが、なんだか変だ。

・ブッシュ・ド・ノエル=クリスマスの薪という意味。丸太を燃やした灰が、
 雷や火事よけのおまじないになるというリトアニアの神話がもとになっているそう。





著者の感性はやっぱり違う。
平凡なものの彩り方が違うと思う。
人が気付かないような小さな幸せさえ、残らず掬い上げるかのような感性には脱帽。


野菜と果物を売っている人間なので、とってもおもしろく読ませていただいた。
もちろんそうでない人も、楽しく読めると思う。


日本語の妙。
こういう本を読むと、日本に生まれてよかったと本当に思う。
感謝。


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Hiro

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読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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