スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

精神病棟に生きて : 松本昭夫

seisin.jpg

統合失調症で精神病院に入院していた著者の記録。想い。





・16,7歳。精神疾患の好発時期

・私の精神は小康状態を何とか保ちながらも、異常を孕んでいた。

・今でこそ(私も早70歳になろうとしている)、性愛の欲望は薄れたが、
 それでもたまにセックスを感じる

・私はもうセックスは出来ない。中途でダウンしてしまう。
 現在の私は性愛ならぬ、聖愛というものを考えているのだ。

・年を取るにつれて、人はだんだん子どもへ帰っていく。

・統合失調症は内因性精神病と言われている。内因性とは遺伝的な要素が強い
 という意味

・私はいわゆるカウンセリングや精神療法を受けたことがない。私が入院していた
 当時はまだ珍しい療法だった

・ものの本で調べたところによると、知能指数は100が普通で、114は中の上。
 東大に入るには120以上が必要だとあった。
 世界的名作ドン・キホーテの作者セルバンデスは、IQが100ちょっとだったそう。

・私にはフェティシズムの趣味があった。特にその対象は靴である。
 私はセックス本番よりも、この靴のほうに欲望が傾いてしまう。特にハイヒール。
 はいているハイヒールに、その女の欲望が凝縮して詰まっているような錯覚。

・確実に、病院側では私たち患者を子ども扱いしていた。

・真の平和とは、障害者と健常者とが、一緒に生活を楽しめる、「共生」に
 ふち取られた国に実現するはずだ。

・自殺者が最近年間3万人を超えている。一日に約100人弱の人が自殺している
 ことになる。自殺する人は、大半がうつ状態だ。

・私は忌み嫌っている統合失調症にかかった自分自身が嫌いである。限りなく健康で
 病的ではないが、いまだに予防の投薬を続けている自分が嫌い

・ゲーテも躁うつ病。ドイツのバイエルンの国王だったルートヴィッヒ2世は統合
 失調症で、同性愛者だったそう

・精神障害者であることが会社にばれて首になったこともあるそう

・ロマンは脆弱だった。

・私は死後は無だと思っている。天国だの地獄だのは信じない。

・幻聴は考想化声といって、自分の考えていることが声となって聴こえてくる

・神が存在するのなら、悪魔も存在しなければならない

・雲の切れ目から差す光の帯のようなものを「天使のはしご」というそう

・統合失調症は夜によく似合う。私は妄想を次から次へと働かせて、意味不明の詩を
 書いていた。詩と統合失調症とはよく合致した。

・私は中空の一角でSさんとセックスをしている。こうした妄想が毎日続いた。

・うつ的傾向とは、気分が晴れなく、暗鬱な心情とともに、虚無的な感情に
 陥りやすくなる。死のことを終始思う。

・精神障害者は寛解すると一般の人たちと何ら変わらない。何の不便もない。
 言ってみればバリアがない。この点を精神障害者は幸福だと思うべきである。

・私は射精すると、一瞬世界がぼうっとかすみ、没落したような気分に陥り、一種の
 自暴自棄の感覚に捕らわれる。

・統合失調症の発病率は1パーセント、百人に1人とのこと。
 全国の精神障害者数は平成10年の調べで、220万人。

・重篤な者のみを病院に残すいわゆる沈殿患者
 社会的入院…家族が引き取らない、拒否しているケース

・暗殺されたケネディ大統領には知覚障害者の姉がいた

・アメリカの学者の話によると、日本の精神医療界の現状はおよそ30年前の
 アメリカの状態だろうとのこと

・精神病院へ入院することは何ら社会的支障はない。職場で締め出されたり、恥ずかし
 い思いをすることもないので、社会にたいして隠す必要もない。(カナダにて)

・「社会復帰するとは必ずしも就職して働くことではない」

・日本では性に対する抑圧がある。これがいろんな精神疾患の原因となっていることは
 事実であろう。

・PTSD(心的外傷後ストレス障害)

・統合失調症は母親が作るとも言われているそう

・最近、ハンセン病患者の隔離政策が誤りだったことを国が認めた。
・精神障害者も子どもを作っていいのである。たとい、その子が成長して発病
 したとしても、国全体でその子を保護していこうというのが、福祉の原点。
 「共生」の原点。

・障害者はいい意味で、突っ走りがちな社会のブレーキ役を果たすべき。

・精神科の診察室で患者、とくに男性の話を聞いていると、よくセックスの悩みに
 出くわす。その多くは、「自分のペニスが勃起しないで、使い物にならない。
 なんとか薬を減らしてください。」といったものが大部分である。

・受胎後数ヶ月が最も胎児に異常が生じやすい時期

・早発性痴呆から精神分裂病、そして現在の統合失調症という名前になった

・現在の学説(平成16年)では、統合失調症の原因として脳内神経伝達物質の不均衡や
 胎生初期の障害に重きを置くことが多い。しかし精神病の発症に性的なエネルギーが
 関与している可能性は否定できない。







読んでいて、著者が若干だが、頭の固い人間であるような気がした。
自分の考えが見事に固形化してしまっているような、そんな感じ。
ぼくは考えなど流動的でいいと思っているので、液体みたいなイメージを持っている。
もちろん芯の部分は固形でいいのだけれど。

だから、「ここをこう決め付けてしまわなくてもいいじゃないか。」と思う節もいくつかあったが、所詮十人十色なので、そういう考えもありか、みたいにいい意味で読めた。


ぼくは統合失調症についてなど全く知らなかったので、どんなものなのか著者の文を
辿って想像しながら読んだ。自分の身近にも幸か不幸か、うつ病など精神病にかかっている人がいないので(もしかしたら分からないだけでいるのかもしれませんが)、いろいろと勉強になった。

著者の性に関する事実が嘘偽りなくはっきり綴られている印象が強かった。
靴フェチだとか、セックスに対する思いとか。


これからはたとえ統合失調症だという人がいても、前の自分よりかはうまく
接していけそうだと思う。100人に1人はかかるという結構身近なものなのだなぁ。

25歳のうちに読めてよかった。



スポンサーサイト

影響力の武器 : ロバート・B・チェルディーニ

image.jpg


恐ろしいほどに巧妙な承諾誘導の防衛法。




●第1章 影響力の武器

・承諾誘導の実践家が相手からイエスを引き出すために使う戦術は何千とありますが、
 その多くが6つのカテゴリーに分類できる。返報性、一貫性、社会的証明、好意、
 権威、希少性。

・固定的行動パターン=規則的で盲目的といえるほどに機械的な行動パターン

・世界中の尋ね人広告で、女性は身体的魅力を記すのに対して男性は
 物質的な富について記す傾向があるという

・人間行動の原理としてよく知られているもののひとつに、人に何か頼み事をするとき
 は理由を添えた方が成功しやすくなる

・高価なもの=良いものというルール。逆は安いもの=悪いもの

・「ので」という単語。それに言わずもがなの内容をつけ加える。これだけで、たとえ
 そのあとに承諾するための本当の理由が述べられていなくても自動的に承諾してしま
 う。まさに「カチッ・サーー」(=判断のヒューリスティック)。
 exa.「5枚だけなんですけど、コピーをとらなければいけないので、先に使わせても  
    らえませんか?」

・私たちの生活に降りかかる刺激が複雑で変化の激しいものになるほど、それらにうま
 く対処するために簡便法に頼らなければならなくなる。

・私たちの社会における購買行動の標準的な引き金ーー割引クーポン

・私たちは「カチッ・サー」と反応すると危険だというときには、安全策をとる
 ようになるよう。簡便法を選択する他ない。

・教訓的なのは、私たちは、自分では重要な問題についても熟慮せずに判断してしまう
 ことが多い一方で、アドバイスをもらう人たちー医師、会計士、投資アドバイザーー
 には、まさにそのこと、つまり熟慮の末の判断を自分のためにしてほしいと考えてい
 る。この種の行動をすることによって、私たちは、それがどのように機能するかを
 知っている人に対して極めて弱い立場に立たされることになってしまう

・同じものであっても、その前に起こった出来事がどのようなものかによって、
 まったく違ったものに思えてしまう=コントラストの原理

・自然環境のなかで動物の行動を研究するエソロジストは、多くの種の動物の
 行動が固定的で自動的なパターンとして生じることが多いことに気付いていた。
 これは固定的行動パターンと呼ばれる。人間の自動的反応(カチッ・サー)に類似して
 いる


●第2章 返報性のルール

・返報性のルール…私たちの身の回りでよく観察される最も強力な武器。他人がこちら
 に何らかの恩恵を施したら、似たような形でそのお返しをしなくてはならない。個人
 的な資源を他の人に与えることから始めなければならない取引。

・恩に着ます=ありがとうございます

・お返しをしなければという気持ちは、大きな文化の違い、遠く隔たった距離、
 そして急迫した飢餓や目先の自己利益を超越する

・恩義を感じさせることによって一儲け企む相手にまんまとだまされてしまうことがあ
 る

・寄付を求めるのに使用されたのは「プレゼント」。寄付金を要請する前に、狙いを
 つけた人に本、あるいは最も効果のあるものとして花が渡された。何も知らない通行
 人は、突然自分の手に花を押し付けられたり、ピンで上着に花をつけられ、返すこと
 もできない状況に追い込まれる。その後寄付金を要請した。
・一般的に言って、お客様はちょっとしたギフトやオマケを受け取るだけで、
 買うつもりのなかったものを喜んで買うようになる

・誰も義理人情の心理過程の影響を免れることはできない

・無料試作品の強みは、それが一種の贈り物であることから、その場に返報性の
 ルールを持ち込むことができる

・あるスーパーの経営者は、チーズを買い物客の前に出して、客に自分でスライス
 してもらい、それを無料試供品として食べてもらうというやり方で、大成功

・ある人が、頼みもしないのに勝手に親切を施すことによって、私たちの
 心のなかに恩義の感情を生み出すことができる

・自分が頼んで何かをしてもらった場合にはそれほど恩義を感じないかもしれない、と
 いうことを言いたいのではありません。自分から頼むということ自体が私たちに恩義
 の感情を生じさせるのではない

・返報性のルールを構成するのはお返しをする義務だが、このルールを自分の利益のた
 めに利用することを容易にしているのは、受け取る義務のほう。

・私たちの多くにとって、恩義を受けている状態というのはとても不快。

・返報性のルールは、2つのやり方でお互いの譲歩を引き出す。
 1つは、すでに行われた相手の譲歩に対して、同じような譲歩をするように
 受け手に圧力をかけること。もうひとつは、受け手がお返しをしなければならない義
 務を負うために、人が勝手に最初の譲歩を行って、それによって相手とのやり取りか
 ら利益を得ることができる。

・販売員がその家を訪問することを「勧めた」知人の名をあげることができると、
 販売の成功率がぐっと上昇する

・拒否されたら譲歩することは有効

・ふつうなら友人をしつこい売り込みにさらすようなことなどしない人でも、
 買ってほしいという頼みを断り、相手がその要求を譲歩する形でそれなら名前を教え
 てほしいと言われると、ついその通りにしてしまうことが多い。
 この戦術の利点の一つは、最初に十ドルを要求して次にそれを五ドルに引き下げる
 ことによって、返報性のルールとコントラストの原理の両方を同時に使えること。

・返報性と知覚のコントラストの影響が組み合わされて使われると、恐ろしいほど
 協力な力が生み出されます。

・小売店ではよく「高い商品から勧める」ことを実践している。これは大きい要求から
 小さい要請へ引き下げるやり方。ある程度効果を発揮するやり方。

・「拒否したら譲歩法」は、こちらの望みどおりに人々を同意させるだけでなく、
 実際にその要求を実行し、将来も要請があれば志願するように仕向けるよう。
 さらに、相手が交渉を取り仕切って最終的に同意したことに責任を感じるようになる
 ため、クレームが少なくなる。信じがたいほどのコミット。

・相手の譲歩によって自分が同意するというのは、その人にとって
 非常に満足を感じるもの

・好意に好意が続くのが正しいのであり、セールス戦術に好意が続く必要はない。


●第3章 コミットメントと一貫性

・最後に断るよりも最初から断るほうが簡単だーダ・ヴィンチ

・ひとたび決定を下したり、ある立場を取ると、”そのコミットメントと一貫した行動
 を”取るように、個人的にも対人的にも圧力がかかる。

・私たちは皆、自分の行為や決定と一貫した思考や信念を持ち続けようとして、
 自分自身をだますことがしばしばあります。

・一貫性のテープが回る。一貫性を保とうとする傾向は、本当に自分がもともと
 望んでいないことを私たちにさせるほど強力なもの。一貫性こそ、論理性、
 合理性、安定性、そして誠実さの核心をなすもの

・いい意味で個人的に一貫していることは、私たちの文化のなかで高い価値がおかれて
 いますし、実際そうあるべき

・ある問題に対して自分の立場をはっきりさせてしまえば、一貫してそれに固執するこ
 とで大きな満足感が得られる。

・なぜ一貫性を保とうとする自動的反応を抑制することが困難なのかは、容易に理解で
 きるでしょう。それは、考え続けるという苦難を避ける道を与えてくれる。
 楽しく生きていけるのです。

・一貫性にしがみつくことは愚か

・協力な一貫性のテープをサーと回転させるカチッ、は、何によって生み出されるのか。
 それはコミットメント。もし私があなたをコミットメント(立場を明確にさせる、公
 言させる)させることができたとしたら、よく考えもせず自動的にそのコミットメン
 トと一貫性を保つためのお膳立てができたといってよい。

・承諾誘導の方略は私たちにある行動を取らせたり言明したりするように仕向けます。
 その行動や言明によって、一貫性の圧力がかかり、承諾しなくてはならなくなる。

・小さな要請に同意する場合にも、十分に注意を払わなくてはならない。
 自分の望んでいない方向に自己イメージを変えてしまうため。

・自己イメージを操作するために小さなコミットメントが使える。
 望むような形に人の自己イメージを変えることができたなら、その人は、
 新しい自己イメージに一貫したあらゆる範囲の要請を自然と受けいれるようになる。
 
・コミットメントが効果的に影響を及ぼすには、いくつかの条件が揃っていないといけ
 ない。行動を含むこと、公衆の目にさらすこと、努力を要すること。

・人には、書かれた意見は書いた人の真の態度を反映していると考える自然な傾向があ
 る。

・何が正しいかを自分で判断する際には、自分の周りの人たちが何を正しいと
 考えているかが非常に重要な役割を果たす。

・行動を含むコミットメントをしてしまうと、自己イメージには2つの面からの一貫性
 圧力がかかる。なかからは、自己イメージを行動にあわせようとする圧力がかかる。
 そして外からは、もっと秘かな圧力ー他者が自分に対して抱いているイメージに、
 自己イメージをあわせようとする傾向がかかる。

・自分が書いた意見に合うように自己イメージを変えさせる力。意見を書くという
 コミットメントの力は絶大。

・販売員たちは自分の販売目標を設定するように求められ、それを個人的に書き記す
 ことによってその目標にコミットさせられる。

・始める前の最後の秘訣。それは目標を設定し、目標を書き留めること。どんな
 目標であっても、目標を立てることが重要。そうすれば自分が目指すものができる。
 そして、その目標を書き留める。書くことには魔術的な力がある。だから、目標を
 設定しそれを書き記す。目標を達成したら、さらに別の目標を立て、それをまた書き
 留めること。

・人は書いてしまったことに見合うように行動する。

・他人に見えるような形で自分の立場を明確にすると、一貫した人間に見せようとする
 ために、その立場を維持しようとする気持ちがその人のなかに強く生じるようになる。
 
・個人的に一貫しているということは、非常に望ましい性格特性。
 一貫していない人は、気まぐれで、優柔不断で、軟弱で、軽はずみで、不安定な人と
 判断されてしまうことになるでしょう。
 一方、一貫している人は、合理的で、確かで、信頼のおける、健全な人であると判断
 されるでしょう。

・最初の判断を書くという行為によって、新しい情報の影響に抵抗し、最初の決定と
 一貫性を保とうとしたのです。

・決定を公表すると、その決定に最も固執するという発見は、有益に使うこともできま
 す。人が悪い週間をやめるのを援助することを目的として良い

・変更がありましたらご連絡ください、ということを止めさせた。
 代わりに変更がありましたらご連絡いただけますか?と相手に尋ね、
 答えを待つようにさせた。→客にパブリック・コミットメントをさせることによって、
 客がそれに従った行動をとる可能性が高まる。

・パブリック・コミットメント方略は、プライドが高い人、あるいは公的自意識が高い
 人に特に有効

・興行会社は、コンサートへ行く可能性のある人たちが、売り場に出かけたり電話をか
 けたり電話をかけたりする前よりも、その後にチケットを買う気になることを知って
 いる。

・何かを得るために大変な困難や苦痛を経験した人は、同じものを最小の努力で
 得た人に比べて、自分が得たものに対して価値をおくようになる

・加入儀礼の厳しさが集団に対する新加入者のコミットメントを著しく高める

・他集団と差別化して自らの集団の連帯意識を持続させることに腐心する集団において
 は、苦難を要求するような加入儀礼は簡単にはなくならないと思う

・自己イメージや将来の行動を変化させるためには、なんらかの行動を含み、人前で
 行われ、努力を要するコミットメントが最も効果的なようです。

・コミットメントを無理に引き出すだけでは十分ではない。その行為に対して、
 自分で責任をとらせる必要があった。

・人は外部から強い圧力を受けずにある行為をすることを選択すると、その行為の
 責任は自分にあることを認めるようになると明言しています。

・重要なのは、最初に望ましい行動をとらせることができ、同時にその行動に対する
 責任は自分自身にあると子どもに感じさせるような理由を用いること。

・自分の意思に反して賛同したものは、元の意見を持ち続ける

・承諾誘導の専門家は心の中の変化を引き起こすコミットメントをとても
 好んでいます。第一の理由は、そのような変化が、最初に起こった状況だけでなく、
 関連するあらゆる状況にもあてはまるという点にある。

・自分を公共精神にあふれた市民だと見るようになると、物事を見る目が
 自動的に違ってきます。そして、それが正しいと自分で納得し、地域サービスの
 価値に関して以前には気付かなかったような事実に注目するようになる。一般的
 に言うと、自分の信念体系のなかで一貫性を保とうとする欲求があるために、
 人は公共精神にあふれた行動をとることが正しい選択だったと確信しようとする。

・人は自分がコミットした選択に対して、それを支える新しい支柱を築きますから、
 他人を食い物にしようとする人たちはそのような選択をさせるように誘いをかけるこ
 とができます。

・さまざまな種類のローボール・テクニックがあるが、どれが使われても中身は同じ。
 まず、喜んで買うという決定を誘い出すための有利な条件を提示します。
 そして、決定がされてから契約が完了するまでの間に、もともとあった有利な
 購買条件を巧みに取り除いてしまいます。このような状況のもとで、お客がものを買
 うようにまず考えられませんが、しかしこれがうまくいく。

・まず、重要な決定をするというコミットメントを引き出すようなうまい話を持ち
 かけておいて、次に、好ましくない条件を付け加える。ローボール・テクニックが印
 象的なのは、不利な選択で人を満足させることができるという点。

・しばしば人の感情と信念が同じ方向を指さない

((この章のまとめ))
・ほとんどの人には、自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたい、
 他の人にそう見られたいという欲求がある。3つの要素によってもたらされる。
 1一貫性を保つことによって、社会から高い評価を受ける。
 2公的なイメージに及ぼす影響は別にしても、一貫性のある行為は、一般的に
  日常生活にとって有益である。
 3一貫性を志向することで、複雑な現代生活をうまくすり抜ける貴重な
  簡便方略が得られる。

・承認誘導の世界では、鍵となるのは、最初のコミットメントを確保すること。
 (つまり、自分の意見を言ったり、立場を明確にすること)
 行動を含み、公にされ、努力を要し、自分がそうしたかったのだとみなされる
 コミットメントがもっとも効果的である。
 多くの場合、人は自分がしたコミットメントについて、それが正しいということを
 示す新しい理由や正当化を付け加える。



●第4章 社会的証明

・録音笑いを使用すると、笑いの回数が多くなり時間も長くなること、
 また、そのねたを面白かったと評定することがいくつかの実験で明らかにされている

・社会的証明の原理=私たちは他人が何を正しいと考えているかにもとづいて
 物事が正しいかどうかを判断する。

・バーテンダーはよく夜会が始まる前に何枚かのドル紙幣を見せ金としてチップ入れに
 混ぜておく。それが、前に来た客が残したチップであると装い、お金をたたんで
 チップを払うのがバーにふさわしい行動であるという印象を作ろうとしている。
 教会の受付は、しばしば同様の理由で募金箱のあらかじめお金を入れておきますが、
 こうすることによって、やはり実入りがよくなる。

・目に見える社会的証明によって、自分たちの店の質の高さを示すブランドを
 でっちあげる。セールスマンは、すでにその製品を買った人のことをいろいろと
 織り交ぜて話をするように教えられています。

・「自分で何を買うかを決められる人は全体のわずか5%、残り95%は他人の
  やり方を真似する人。だから、あらゆる証拠を提供して人々を説得しようと
  しても、他人の行動には適わない」

・他者の行動を映画にして見せるやり方は、子どもの行動を変化させるほど
 強い影響力を持つ。exa.引きこもりの子どもに幼稚園でのさまざまな情景から
 成る映画(1人ぼっちだった子どもがほかの子どもを眺めているところから始まり、
 やがて積極的にその活動に参加、みんな楽しく過ごすというもの)を見せる。

・チラとでも見上げなければならないという圧力は、ほとんど抵抗しがたいもの

・どんな考えでも、それを正しいと思う人が多ければ多いほど、人はその考えを
 正しいと見ることになる。

・曖昧な状況のもとでは特に、他の人が何をしているのかを知ろうとする傾向を
 皆がもつことにより、集合的無知と呼ばれる現象が生じる。この現象を十分に
 理解すれば、この国で日常茶飯事になっていることで、不可解だとか、お国の恥
 だとか言われてきた出来事をうまく説明するのに役立つ。その出来事とは、大勢の傍
 観者がいるのに助けを切に求めている犠牲者に誰も援助の手を差し伸べようとしない
 こと

・私たちは落ち着いていて取り乱さない人間だと人から見られたいと思っていますから、
 その証拠を探す場合でも、平然とした風で何気なくチラッと周りの人たちを見がち。
 そこで、誰もが、少しもあわてず行動しないでいる他者を見ることになります。
 その結果、社会的証明の原理により、その出来事は緊急事態ではないと
 容赦なく解釈されてしまう。

・緊急事態に陥った人が「人数が多いから安全」と考えるのは多くの場合完全な誤り。
 緊急援助が必要な人は、多くの人がいる場合よりも、たった一人の人が居合わせた
 場合のほうが、生き残る可能性が高くなるのかもしれません。

・社会的証明の原理が特に強く作用する条件がいくつかあります。そのひとつが不確か
 さ。どう振舞えばよいのか確信が持てないとき、人は他者の行動を参考にして自分の 
 行動を決める傾向にある。

・近頃、どこにでもいそうな普通の人が商品を推奨するCMをTVでよく見かけるよう
 になったのは、広告主が商品を(最も大きな潜在的市場を形成している)普通の視聴者
 に売り込むには、他の「普通」の人々がそれを好んで使っていることを示せばよい
 と知っているから。

・私たちは自分に似た他者の行動にもっとも強く影響される

・新聞が若い人物の自殺を詳しく書きたてると、その後で、自動車を衝突させて死んで
 しまったのは若いドライバーたち。しかし、ニュースで、お年寄りの自殺を報じた後
 は、お年寄りのドライバーたちがそうした衝突で死んだ。
 社会的証明の原理は生か死かという根本的な決定にまで適用される。

・不確かさが社会的証明の原理のいわば右腕

・群衆が示す証拠に自分がくぎづけになっているときには、周囲を定期的に
 見渡す必要がある。誤った社会的証明に対するこの簡単な安全装置がないと危ない

((この章のまとめ))
・社会的証明の原理によると、人がある状況で何を信じるべきか、どのように振舞う
 べきかを決めるために使う重要な手段の一つは、他の人々がそこで何を信じているか、
 どのように行動しているかを見ること。

・社会的証明は2つの状況において最も強い影響力を持つ。
 ひとつは不確かさ。もうひとつは類似性。すなわち、人は自分と似た他者のリードに
 従う傾向がある。誤ったその証明に影響されないためには、類似した他者の行動だけ
 を私たちの決定の基礎にしてはならないことを肝に銘じること。

●第5章 好意

・ハロー効果…ある人が望ましい特徴をひとつもっていることによって、その人に
 対する他者の見方が大きく影響を受けること。
 ・私たちには、外見の良い人は才能、親切心、誠実さ、知性といった望ましい特徴を
  もっていると自動的に考えてしまう傾向がある。

・外見の良い人の社会的利益は、幼少のころから蓄積され始めるようだ。

・身体的魅力のハロー効果が承諾誘導の専門家によってよく利用されていることは、
 決して驚くべきことではありません。

・私たちは自分に似ている人を好みます。
 私たちには、自分と同じような服を着ている人を助ける傾向がある

・類似性を操作することによって要請者が好意と承諾を得る方法のひとつは、経歴や
 趣味が似ていることを強調すること。たとえば、車のセールスマンは客の下取り車を
 調べている間に、類似点の手がかりを探すように訓練されている。

・わずかな類似性でさせ他者に対する望ましい反応を作り出すのに効果があり、
 見せかけの類似性は簡単にでっちあげられるのですから、「あなたとよく似てます
 ね」と話す要請者の存在には特に注意すること

・多くの販売トレーニングのプログラムは、研修生に客の姿勢、雰囲気、話し方を
 「鏡のように映して、相手に合わせる」よう求めている。=類似性が好ましい結果を
 もたらす。

・誰かが自分のことを好きだという情報は、お返しとしての好意と自発的な承諾を
 生み出す、魔法のような効果を持っている。だから、人がお世辞を言い、親しげに
 接してくるとき、私たちから何かを引き出そうとしていることも多い。

・世界で最も偉大な自動車セールスマンの成功の秘密は客が自分を好きになるように
 したこと。毎月、お得意さん一人ひとりに、メッセージを印刷した挨拶状を送ってい
 た。そこに必ず、「あなたが好きです」と書かれていた。
 「挨拶状には何もいらないんですよ。自分の名前以外には何もね。
  私がお客様に好意を感じているということを伝えるだけでいい。」

・私たちには他者からの称賛を神事、それを与えてくれる人を好む傾向がある。
 お世辞によって、おめでたいほどだまされやすい存在である。

・私たちはほとんど意識していませんが、ある対象に対する態度は、
 過去にその対象を何回くらい見聞きしたかによって影響を受ける。

・教室という競争に満ちた大鍋

・協力することが好意の形成過程に絶大な影響を及ぼす。
 承諾誘導の専門家たちは常々、私たちと彼らが共通の目標を目指して努力
 していること、お互いの利益のために私たちは「仲良くやって」行かねばならないこ
 と、彼らが本質的に私たちのチームメートであることを認めさせようとしている。

・人間には、不快な情報をもたらす人を嫌う傾向がある。
 悪い出来事でも良い出来事でも、それと単に結びつけられることが、
 人々が私たちに対してどのような感情を抱くかに影響を与える。

・承諾を引き出す「連合の原理」。
 クレジットカードそのものやカードをあらわすマーク、シンボル、ロゴなどを、
 消費のマイナス面よりもプラスの面と連合させがちになっている。
 レストランの常連は、現金よりもクレジットカードで支払った場合のほうが
 チップを多く払い、学生がマスターカードのマークが出されている部屋で
 通信販売カタログの品物選びをする場合、平均29%も多くの金を使おうとする
 ことが明らかにされている。
 クレジットカードに単に(好ましい場合が付随している)カードのシンボルが
 付随する存在するだけで、より多くの現金を使うように人々を駆り立てる。
(※部屋のなかにあるクレジットマークが効果をもったのは、カードで好ましい体験
 をした人だけであることが示されている。クレジットカードで嫌な体験をした人に
 ついては、促進的効果は示されなかった。)

・連合の原理に基づいて広告主がお金をかけるのは、商品と名声を結びつけるという
 やり方。広告主にとって重要なことは、とにかく結びつきを作り上げること。ただ
 好ましい結びつきでありさえすればよいのです。

・政治家がもっともよく利用している連合の原理、食べ物との結びつき。
 たとえば、食事をともにすることによって反対派の議員の投票を操作しようとする
 ことは、ホワイトハウスの伝統になっている。
 「ランチョン・テクニック」。被験者が食事中にかかわりのあった人やものをより
 好きになること。食べ物に対する通常の反応を、粗っぽい連合のプロセスによって他
 のものに転移させることができる。望ましいものなら何でも食べ物と置き換えて、
 それらのもつ好ましい特性をアイデアや製品、人物に付与することができる

・生まれた場所との単なる結びつきも連合の原理のひとつ

・われわれのコンテストを見るときの反応の描写。
 他のすべての条件が等しければ、人は自分と同じ性別、同じ文化、同じ地方の人を
 応援する・・・その人が証明したいと思っているのは、自分が他の人より優っている
 ということなのである。応援する相手が誰であれ、その相手は自分の代理になる。
 そして、その人が勝つということは自分が勝つことと同じだ。

・栄光の反映に浴したいとする気持ちは誰にでもある。あまりにその傾向が強い人たち
 は、単なるスポーツ熱愛者ではなく、背後にパーソナリティの脆弱さが隠されている
 人たち。否定的な自己概念をもっている人々。こころの深層に、自分は価値が低い
 人間だという気持ちがあるため、自分自身の業績を高めて名声を得るのではなく、
 他者の業績との結びつきを形成し、それを強めることによって名声を得ようとしてい
 る。

・私たちの注意は、承諾誘導の専門家への不当な好意を生じさせる事象ではなく、不当
 な好意が生み出されたという事実に向けられるべき。「私がこの男を知ってからの
 25分間で、予期していた以上にこの男を好きになったのではないか」という、重大
 な問いかけを自分にしてみるべき。取引のメリットと販売者を分離し、取引のメリッ
 トだけを考えて判断を下さなければならない

((この章のまとめ))
・人は自分が好意を感じている知人に対してイエスという傾向がある。
 
・身体的美しさが社会的相互作用のなかで有利に働くことは、ずっと以前から気付かれ
 ていたが、研究の結果によれば、その有利さはわれわれが想像している以上のもの。
 身体的魅力はハロー効果を生じさせ、才能や親切さや知性などのほかの特性について
 の評価を高める。

・好意と承諾に影響する第二の要因は類似性。私たちは自分と似た人に好意を感じ、
 そのような人の要求に対してはあまり考えずにイエスという傾向が強い。
 好意を高めるもうひとつの要因に称賛がある。お世辞は一般に好意を高め、承諾を
 引き出しやすい。

・人や事物と接触を繰り返すことによって親密性を高めることも、好意を促進する
 ひとつの要因である。

・好意と結びつく要因のひとつは連合。自分自身や自分が扱う製品と望ましいものとを
 結びつけ、連合のプロセスによって、その望ましさを分かち合おうとする。


●第6章 権威

・人は権威者の命令にはとにかく従おうとする

・私たちは権威者の命令に従うべきか否かについてそれほどまで悩むことは滅多に
 ない。事実、私たちはあまり考えずにカチッ・サー方式で服従してしまうことが多い。
 権威者と認められた人からの情報は、ある状況でどのように行動すべきかを決定する
 ための貴重な近道を提供してくれる

・盲目的な服従において賛美と呪いが同時に存在している。
 私たちは考えているのではなく、単に反応している。

・わたしたちはしばしば権威の実体と同様、そのシンボルにも影響されやすい。
 詐欺の名人は権威を示す肩書きや服装、装飾品で自分たちを包む。彼らは、上品に
 着飾ってすばらしい車から降りてくることや、自分たちを医師、裁判官などのように、
 将来性のある「マーク」で自己紹介することが何より好き。

・肩書きは獲得するのが非常に難しくもあり、同時に易しくもある権威のシンボル

・肩書きによって身長の知覚に歪みが生じる

・物を大きく見せるのは必ずしもその好ましさではなく、自分にとっての重要性が
 一役かっている

・鳥が翼を広げ、羽ばたく仕草のように大きく見せかけるだけでも、芝居がかった戦士
 の一方が、自分よりも明らかに大きくて強そうな相手に対して互いに競り合っていた
 地位を明け渡し退却してしまうことがある

・制服ほど明確ではないが、私たちの文化では伝統的に権威者の地位を示すものと見な
 され、効果をあげている装いのひとつが、仕立てのよいスーツ。

・スタイルのよい高価な衣服は地位の威光をもたらすが、宝石のような装飾品や自動車
 の場合も一緒。特に自動車はアメリカで関心をもたら、「アメリカの恋は車で実る」
 といわれる

・権威は私たちに有無を言わず作用するだけでなく、私たちの予測を超えて作用する

((この章のまとめ))
・本当の権威者は優れた知識と力をもっているのが普通なので、人の命令に従うことは
 適応的な行為であることが多い。このような理由から、権威者に対する服従は、一種
 の短絡的な意思決定として、思考が伴わない形で生じてしまう。

・われわれは権威の単なるシンボル(肩書き、服装、装飾品)に反応してしまう


●第7章 希少性

・ほとんどすべての人が、なんらかの形で希少性の原理に支配されている。
 手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる。

・人は、同じくらいの価値のあるものなら、それを獲得することを考えるよりも、
 それを失うことを考えるときに強く刺激されるよう。とりわけ危険性や不確実性の
 高い状況では、何かを失うかもしれないという脅威は人間の意思決定において強力な
 役割を演じる。医師が喫煙者へ手紙を送る場合、禁煙した場合に寿命が何年延びるか
 よりも、喫煙を続けた場合に寿命何年縮まるかを記載したほうが効果的。

・希少性の原理は、私たちが簡便法の魅力に弱いという点につけこむ。
 この弱みは元来私たちを「教え導いて」くれるもの。

・わたしたちは手に入れる機会が減少するにつれ、自由を失う。
 わたしたちはすでに持っている自由を失うことを嫌うものです。

・心理的リアクタンス理論・・・自由な選択が制限されたり脅かされたりすると、自由
 を回復しようとする欲求によって、その自由(および、それに結びつく物やサービス)
 を以前よりずっと欲するようになる。それゆえ、希少性が増大してーあるいは何か別
 の理由によってーある対象にこれまでのように接することができなくなると、以前よ
 りもその対象を望んだり所有しようとすることで、妨害に反発(リアクト)する。
 これの心理が原因となり、それを欲しているのだ、ということをほとんど認識せず
 反応してしまう。

・簡便法としての希少性の特徴をうまく利用する鍵は、自然に発生した真の希少性と、
 承諾の実践家がでっち上げた類の希少性との違いに注意すること

・ある情報を得ることを禁じられると、私たちは、禁じられる以前よりもその情報を
 求めるようになり、その情報をより好ましく思うようになる。

・困ったことにとりわけ賢い人は、ある問題に関する自分の立場が弱かったり人気がな
 い場合でも、自分のメッセージが制限されるように取り計らうことで私たちの同意を
 得ることができる(たとえば非主流派の政治団体のメンバーは、人気のない自分たち
 の見解を宣伝するのではなく、自分たちの考えが公的に検閲を受けるように仕向け、
 検閲を受けていることを公にするのが効果的)

・情報の希少性さえ高ければ、それが検閲を受けたものでなくても価値を置くようにな
 る

・最も販売の増加が著しいのは、「独占的な」情報です、という言葉

・自由をしばらくの間でも与えることは、まったく与えないより危険(支配者)

・人々は、前から希少であったものよりも、新たに手に入りにくくなったものを望まし
 いと見なす

・割引クーポンは一世紀以上にわたりアメリカの情景の一部になってきました。
 なかでもP&Gは何十年も積極的に製品を「クーポン化」し、それによって
 クーポンを、消費者が当然の権利として期待してよいものとして確立した

・われわれは限られた資源を追求する際、競争することが重要な意味をもつので、広告
 を作る人は、しばしば、私たちのこの性癖を利用する。広告のなかで、ある品の
 「一般需要」が非常に大きいので、「急いで買い求める」必要があると思わせる。

・競合するものを手に入れたいという気持ちには、理性では割り切れない何かがある。
 在庫一掃セールやバーゲン・セールの買い物客たちは、そのイベントにわれを忘れる

・承諾を求められる状況で、興奮の高まりを合図にすることを学習すれば、希少性の
 戦略が使われているかもしれない、用心しなければならない、と自分自身に言い聞か
 せることができる

・喜びは希少な品を体験してみることにあるのではなく、それを所有することにある

((この章のまとめ))
・人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。希少性の原理。
 これを実践的に使う人は、自分たちが提供しているものを手に入れるにはその量や
 時間に限りがあることを私たちに信じ込ませようとする。


●第8章 手っとり早い影響力

・人や物について何か決定を下すとき、私たちは利用可能な関連情報をすべて利用
 するわけではなく、全体を代表するほんの一部の情報だけを使う。利用できるデータ
 のほんの一部の特徴に頼っておろかな決定を下してしまう傾向がもともとあるのに
 かかわらず、現代生活の速いペースによって、私たちはこの種の簡便法を一層多く
 使うことを余儀なくされている

・承諾するかどうかを決めるとき、私たちは、お返し、一貫性、社会的証明、好意、
 権威、希少性という要因をあれほど頻繁に、そして自動的に採用する。

・ある得的の科学分野(exa.物理学)は、8年間で知識が倍増すると言われている。

・文明化された生活をいくつかの単語で表現するとすれば、新奇性、一過性、多様性、
 加速性

・決定を下すとき、状況全体を十分に考慮して分析することが少なくなっている。
 こうした「分析麻痺状態」では、その状況の中にある単一の、たいていは信頼できる
 特徴に注目するようになる。

・広告主が、あるブランドの歯磨きが一番よく売れているという情報を提供したとした
 ら、その人は私たちに品質に関する価値ある証拠を与えてくれることになり、
 おそらく、私たちはそれを歓迎するだろう。

((この章のまとめ))
・どのような状況においても、私たちはできるだけ思慮深く、十分に検討を加えた上で
 決定を下すことを望んではいるが、現代生活の形態が変化し、ペースが加速度的に
 速まってきたことで、賛成と反対の立場を注意深く分析するのに適した条件が
 整わないことが多い。

・コミットメント、お返しの機会、類似した他者の承諾反応、好意あるいは友愛の感情、
 権威からの命令、希少性に関する情報。これらすべてが承諾誘導に用いられる。







この本をはじめて読んだのが、おそらく20歳のときなので、
その頃からぼくが頻繁に意識して使っているのが、「ので」を使うこと。
(意図的に使ってしまうので、ぼくは何か悪いことをしているような気にさえなる)
確かに、だいたいの場合、どんな理由であれ、相手が承諾してくれている。
魔法の言葉、だろうか。


そんな生きるうえで好都合といったら失礼かもしれないが、
便利な心理がたくさん紹介されている。
読む人にとってこの本は鋭利な剣にもなるので、
こんなものをこの値段で売っていいのかという気にさえなるが、
周りにいつも動かされていると感じる人にとっては、最高の盾になるので、よいかと思う。




これらの心理的影響力を悪用しようだなんて、自分にはとても思えないのだが、
自分を含め、自分の周りの人たちがちょっとでもいい方向に向かうように使用できたらと思う。

野菜ソムリエをつくったわけ : 福井栄治

yasai.jpg


野菜ソムリエ協会理事長の軌跡。


・あるとき、中堅スーパーマーケットの農産品担当者会議に呼ばれました。
 日々、野菜や果物を扱う彼らはきっと、青果物に関する知識は豊富なはず。
 しかし、彼らは驚くほど野菜のことを知らなかったのです。
 彼らはたとえばトマトの栽培方法や季節ごとの産地、相場観については非常に
 詳しいのですが、トマトにはどんな栄養があって、季節ごとにどう料理すれば
 美味しいか、どう保存すればいいのか、という質問には答えられなかった。
 ぼくの質問、つまり、スーパーに買い物に来る主婦たちをはじめとする
 「生活者が普通に知りたいと思うであろう情報」についての知識は皆無でした。

・昔は食べ物は安心・安全が当たり前だった。それがいまや、付加価値になっている。

・食品の2つの側面。1つは「食べ物」、もうひとつは「商品」

・たとえばドレッシングにしても商品ではなく「食べ物」として考えれば、不必要なもの
 は入らないはず

・野菜ソムリエとは「生活者視点で野菜やくだもののすばらしさを伝える人」

・一口に旬といっても、野菜には植物学的な旬と食味的な旬がある。
 夏野菜のトマトの植物学的な旬は6-8月。この時期のトマトは青臭さがある。
 4-5月に獲れるトマトのほうが甘くて美味しい。
 いちごも本来は4-5月が旬だが、クリスマスケーキで需要が伸びる12月が最も
 出荷量が多くなる。

・野菜の魅力や感動を正しく説明できる力

・試行錯誤して生まれた理想の野菜ソムリエ像は、生産者のこの部分、スーパーの
 バイヤーのこの部分、料理家のこの部分と、各分野の知識を持ち合わせたものだった

・権威が生まれると、一般的にはそこが発信する情報に関して、人は疑いなく
 納得するようになる。

・権威あるものをグループに分けると4つ
 国、大学、欧米、マスコミ

・ワインのソムリエ資格取得者は日本人が一番多い。日本のワイン消費量は世界全体の
 何十分の一にもかかわらず、ソムリエの数だけ世界一。

・「コンビニ弁当はよくないといい続けていれば、コンビニ弁当はよくなるのでしょう
  か」

・黒豆はまめに働き、まめに暮らせるように。数の子は子沢山に恵まれるように。
 海老は腰が曲がるまで長生きできるように。蓮根は先を見通せる先見性のある
 一年になるように。栗きんとんの黄金のようにお金がたまるように。

・昔から、「舌は三代」という。一代で財を成した人がいくら高級料理を食べても、
 本当の意味でその美味しさを味わうことはできない。人の舌の感覚は子どものころか
 ら食べたものに影響されるため、目利きになるには、子どもの頃から本当の美味しさ
 に親しんでおくことが必要。結局、舌が肥えるには3世代はかかるといわれた。

・ぼんやりしている人と、常に無意識に情報を拾える人とでは、1年、5年、10年
 経ったときに、情報量に格段の差が出てくるものだ

・子どものころに成長ホルモンが一番分泌されるのは夜の11時から午前2時

・自分が会社や社会に提供している価値以上の給料を受け取っている。
 それがサラリーマンの実態。

・為替相場についての情報や考え、日本経済への洞察など、「答えられて当然」
 ということが求められている。

・きのこ
 調理するときは、香りとうま味を逃さないため、水洗いせずに汚れはふき取る程度

・やりたい仕事をするなら出世しろ

・目指すのは、スーパーにはない、野菜やくだもののプロであるスタッフと
 お客様とのコミュニケーションを重視し、物を売る場所というよりも
 コミュニティのような空間

・「生活者視点」。
 仕事をするうえで一番大切にしていることはと聞かれたら、僕はそう答えています。

・「胃袋を満たす産業から、心を満たす産業への脱皮」が、21世紀に求められている
 食産業の姿




ぼくはスーパーで働いていて、今の自分の仕事は売り場、商品を管理することが主だ感じている。
お客様に、この商品はこんなもので、こうしたら美味しいよ、みたいな付加価値よりも、
数字を取るのがメイン。(もちろん数字がとれなければ利益が出ないわけだからこれも大切なのだが)
もちろんお客様にはいいものを買って欲しいし、美味しいものを食べて欲しい。
でも、品質のあまり良くないものも売らなければいけないときもある。

この本はそんな僕の常々感じていたものを、文章にしてくれていた。
あぁ、そうなんだよ。と思う箇所が多かった。

要するにスーパーでの仕事と、野菜ソムリエの仕事はフォーカスする部分が違う。
野菜ソムリエは数字まで見ない。お客様に何が必要な情報なのか、それを一番に、それだけ考えている。
そこがいい、と思う。
結局のところ、ぼくを幸せにしてくれるのは、野菜と果物であって、数字ではないから。
だから野菜と果物のことを学びたいと思う、もっともっと。


最近、勉強を怠っていたので、とても良いきっかけになった。
感謝。

つくるひとーそのくらし : 赤澤かおり

31507347.jpg


つくるひとのくらしにスポットを当てた23とおりのおはなし。


・自分の好きなものごとを知っておく。無理はしないけれど、努力はする。

・自分の身の丈に合うよう、気持ちよく暮らす。ただ、それだけ。

・ただの白磁のやわらかな器でも、強いパワーを持つものがある。

・ひとつひとつ自分の日常茶飯事となる土台を増やしていく。そうすると
 自分が何をすれば気持ちがいいのか形になってくる。

・「私は面倒くさがりだから、料理の作り方も臨機応変。スープが煮詰まって
 しまったら、水で薄めればいい。それくらいに思ってる」

・コレクティブルズ…アンティークというより、今でもガンガン使える100年未満の
          もの

・東京には、悪い意味ではなく、いつも背中を押されているような感じがしていた。

・伊藤さんが描く絵柄は、ぽちょんと絵の具の水滴が落ちたような水玉や、
 ふんわりと雲が浮かぶ空のような、やわらかなもの。それがやわらかなガーゼという
 素材に描かれるのだから頬ずりしたくなる。

・お菓子をつくるときは、たいていその日の気分で。それから大事にしているのは、
 誰のために作るかということ。

・木の食器は特に使うだけで幸せな気分になれる

・数字ってかわいい。

・ご飯作りは家族に対する義務でもないし、仕事の部分だけでもない。じゃあ何かと
 いわれると困るんですが、一日中、家の中にいいにおいがしたらいいかなと思って。

・料理は研究しない。胃袋がおのずとおいしいものを考えてくれるから。

・ぐうたら料理。しなくてもいいことまでマニュアルどおりにやらなくてもいい料理。
 する必要のないことはしなくてもいいのだ。

・「初めの頃のスタイリングは、自分の個性を優先して考えていたように思う。
  それが変わってきたのは35歳を過ぎた頃から。布が派手できれいだったらいい
  とかよりも、料理を作る料理家の背景を考えてものを選ぶようになっていった。
  それは、料理家の人の今を知り、今の自分とすり合わせていくおもしろさでも
  あった。」(スタイリスト)

・器と毎日のごはんの関係

・ちょっと変だなって思える器は盛り付けるものでいろいろな表情が
 楽しめるところがいい

・「民芸そのものの持つ、昔から変わらないかたちにも惹かれますが、何よりそれを
  作り上げ、継承していくスピリッツが大好き」

・気張らないし、無理しない。だけど、してあげたいことは精一杯やる。

・祖母が初物を食べると寿命が百日のびるとありがたがっていた

・無理にではなく、巡り合えたらぐらいな感じで。

・布地に溶け込むような素朴な刺繍





手芸家やスタイリスト、アーティストなど23人の話が描かれる中で、そこに在ったのは
「無理が存在しない」ということ。
無理をしないから、疲れないし、時間の流れをからだの隅々まで感じられているような印象を受けた。
それはシアワセに直結しているんじゃないだろうか。時間を感じる、って大切なことだから。
縛られるんじゃなくて、時間の流れに沿って生きている、そんな印象を受けた。素敵な23人。


「民謡をつくりあげ、継承していくスピリッツ」っていう発想が、おもしろかった。なるほどと思う。


Pagination

Utility

Profile

Hiro

Author:Hiro
読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

Category

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。