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ア、秋 (太宰 治)

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秋は、ずるい悪魔だ。夏のうちに全部、身支度をととのえて、せせら笑ってしゃがんでいる。僕くらいの炯眼の詩人になると、それを見破ることができる。家の者が、夏をよろこび海へ行こうか、山へ行こうかなど、はしゃいで言っているのを見ると、ふびんに思う。もう秋が夏と一緒に忍び込んで来ているのに。秋は、根強い曲者である。

秋ハ夏ト同時ニヤッテ来ル。と書いてある。 夏の中に、秋がこっそり隠れて、もはや来ているのであるが、人は、炎熱にだまされて、それを見破ることが出来ぬ。

悲惨と情慾とはうらはらのものらしい。息がとまるほどに、苦しかった。





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桜桃 (太宰 治)

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ヤケ酒というのは、自分の思っていることを主張できない、もどっかしさ、いまいましさで飲む酒の事である。
いつでも、自分の思っていることをハッキリ主張できるひとは、ヤケ酒なんか飲まない。(女に酒飲みの少いのは、この理由からである)

妻のほうはとにかく、夫のほうは、たたけばたたくほど、いくらでもホコリの出そうな男なのである。

母も、いったい、無口なほうである。しかし、言うことに、いつも、つめたい自信を持っていた。(この母に限らず、どこの女も、たいていそんなものであるが)

子供より親が大事、と思いたい。子供よりも、その親のほうが弱いのだ。 桜桃が出た。 私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。食べさせたら、よろこぶだろう。
父が持って帰ったら、よろこぶだろう。蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚の首飾りのように見えるだろう。 しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、極めてまずそうに食べては種を吐き、食べては種を吐き、食べては種を吐き、そうして心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、子供よりも親が大事。


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とてもおもしろかったのは、父の心の葛藤とでもいおうか、父として、親としての子への感情を垣間見れたこと。
子どもを一番に考えようとするも、自分をたびたび甘やかして肯定してしまうお父さんって多いのではないだろうか。
上の赤字で太字のラストの一文が、すごく心に引っかかったのでありました。

走れメロス (太宰 治)

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なんだかんだで名作。すごいストーリーだなぁと思った。


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ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。

「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」 妹は頬をあからめた。「うれしいか。綺麗な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」

メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄の季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。

おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。

私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ

身代りの友を救う為に走るのだ。

よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代の不信の人間、まさしく王の思う壺だぞ、と自分を叱ってみる

中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。

走れ! メロス。

急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。

メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」 勇者は、ひどく赤面した。

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小学校の教科書で読んで以来のあくまでぼくの意見なのですが、「メロスってこんなに自分勝手な人だったっけ?」と
感じてしまいました。

勝手に友達身代わりにするし、勝手に娘を結婚させようとするし、花婿が結婚をすぐにするのは反対なのに、
説き伏せるし。「おいおい大丈夫かこの世界・・・」なんて読みながら思っていたのですが。

死が迫っているからこその強引なまでの行動力といえば聞こえがいいのですが、
その自己中さがあまり好きになれなかったのでした。


でも、この本で言いたかったことは、上の赤字と青字の部分に尽きるのではないかなぁと勝手に思いました。
どんな障害があっても、諦めないこと。人を助けること。
そういった部分は素敵だなぁと思いました。


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Hiro

Author:Hiro
読んだ本の記録。忘れたくない言葉。

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